岩鉱
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論説
フィリッピン,マビニ,ソロの蒸気熱環境下での粘土化変質に伴って産する混合層鉱物のキャラクタリゼーション
モハレス エドウィン・M.富田 克利河野 元治
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2000 年 95 巻 2 号 p. 37-57

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抄録
マビニのソロで,安山岩質岩石の熱水粘土化作用によって形成された変質ハローの中にアルミニウムに富む粘土鉱物を構成成分とする混合層鉱物が見出された。この粘土化変質は,低硫化熱水系中の塩素ガスが溜まっているゾーンか酸性の蒸気熱環境域の上部に見られる。混合層鉱物を多く含む部分には,微細結晶のカオリナイトと鉄明ばん石を伴って多くのイライト/スメクタイト型混合層鉱物(I/S)と少量の二八面体型クロライト/スメクタイト型混合層鉱物(C/S)が認められる。これらの鉱物は,変質ハローの中の内帯に存するカオリナイトースメクタイト帯と周辺部に存するクロライトーイライト帯の中間に産する。
   アルミニウム質イライトとスメクタイトの混合層鉱物には,構成するそれぞれの鉱物層の比率およびそれらの継続確率,化学組成,結晶形態にいろいろ違いがみられた。これらの変化は,混合層鉱物がスメクタイトからイライトに変化する過程で種々の段階で形成されたためである。この変化過程における混合層鉱物の形成は必ずしも連続的ではなく,ライヒバイテR=0 (>55% スメクタイト)からR=1 (50∼20% スメクタイト),そして最終的にはR=2 (<20% スメクタイト)に変化している。I/S (65%∼10% スメクタイト)中のスメクタイト% は,カオリナイト/スメメクタイト帯から離れるにしたがって減少している。K2Oの値は,クロライトーイライト帯に近づくほど増加している。アルミニウム質クロライト/スメクタイト混合層鉱物は,変質ハローの中には少量みられるだけである。スメクタイトからイライトへの変換の過程で生成される混合層鉱物の生成機構は,安山岩質岩石から溶脱されたAlやK+ を含んだ熱水溶液とスメクタイトの反応で形成されたものと考えられる。
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© 2000 日本鉱物科学会
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