鹿児島県八重地域の火山岩類・火砕流堆積物のフィッション・トラック年代

抄録

鹿児島県八重山地域に分布する火出岩類5こと火砕流堆積物1こについて,フィツション・トラック年代が外部検出法 (C. W. Naeser, 1976) によって求められた。入来輝石安山岩(宮地, 1975) として-括して塗色されていたものは,市比野川を境に西側のものは2.6±0.4 m. y.,東側のものは1.8±0.4 m. y.という値を得た。これはさきに高井 (1981) によって古地磁気学的見地より指摘されていた事実,すなわち,西側のものは正帯磁を示し,東側のものは逆帯磁を示すということと調和的である。今まで年代の知られていなかった尾木場流紋岩および永野層下部層火砕流 (1) のフィッション・トラック年代はそれぞれ2.5±0.4 m. y., 1.7±9.5 m. y.であった。岩相変化が非常に著しいために岩下安山岩として一括されでいた安山岩類について2試料の年代が出されたが (1.4±0.3 m. y., 1.2±0.3 m. y.), 両者は誤差の範囲内でよく一致しているといえる。以上6試料の年代を古地地磁気のデーターとともに第2図にまとめて示した。