抄録
1983年5月22日の桜島火山の噴火で,火山豆石が生成し降下した。火山豆石のX線粉末回折分析,示差熱分析および走査電子顕微鏡観察により,火山豆石中には石膏が生成しているのが認められた。また,多くの火山豆石中には球状の空隙があり,これはある程度の水分の存在下で細粒の火山灰集合体内にできた泡と考えられる。これまで桜島火山の噴火で降った新鮮な火山灰には石膏が認められないが,これらの火山灰を水で湿らすと石膏の結晶が生ずる。火山豆石中の石膏と泡の存在は,細粒火山灰とある程度の水分が,火山豆石に関する多くの生成条件の中で最も基本的なものであることを示唆する。