岩石鉱物鉱床学会誌
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マイクロ・ロボット付属γ線自動計測システムを用いた標準岩石試料の光量子放射化分析
吉田 武義桝本 和義青木 謙一郎
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1986 年 81 巻 10 号 p. 406-422

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抄録

機器光量子放射化分析法により13標準岩石試料中の微量元素, Ba, Ce, Co, Cr, Cs, Nb, Ni, Rb, Sc, Sr, Y, Zn, Zrの非破壊多元素隅時定量を行った。分析試料ならびに比較標準試料の放射化には電子ライナックを利用して30MeVの加速電子を用いた。光量子照射により得られた(γ, n)および(γ, p)反応生成物からのγ線スペクトルの計測には低価格のマイクロ・ロボットを用いて試料交換を自動化したγ線自動計測システムを用いた。
本法により得られた結果は,これまでに報告されている値と多くの場合良く一致している。特に, 10ppmを超える Nbと Y, 50ppmを超えるSrについては,その標準偏差 (1σ)は5%以下である。Co, RbとZrについても 25 から40ppmを超えるものでは同程度の再現性が得られた。従って,本法を他の分析法と併用することにより多量の岩石中の多数の元素について比較的容易にしかも高精度の分析結果を得ることができる。また,島弧火山岩類の起源を論じるにあたって重要な役割を果たすCs, Nb, Rb, Y等について, 10ppm以下でも高精度の分析値が得られることも本法の特徴である。

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