武尊火山と赤城火山のマグマは,マグマ溜りにおける結晶分化の道すじにおいていくつかの異なった点がある。赤城火山において見積もられたマグマの温度は, SiO2 54から70 wt %の液組成の変化の間に1050°Cから990°Cへ約130°C低下するが,武尊火山においては,同じ液組成変化の間に1050°Cから990°Cへ約60°Cだけ低下する。又,赤城火山マグマのアルミナ量は武尊火山マグマに比ぺて多い。これらの相違は,赤城火山の親マグマの水分量が武尊火山の親マグマの水分量に比べて多いということを示している。
赤城火出のマグマのFeO*/MgOはSiO2の増加に対してほとんど変化しないのに対し,武尊火山のマグマではFeO*/MgOが増加する。晶出結晶量の計算はこの違いが斜長石の晶出量比と関係していることを示唆している。