岩鉱
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三宅島産灰長石に包有された自然銅
村上 英樹木股 三善下田 右
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1991 年 86 巻 8 号 p. 364-374

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抄録

三宅島産灰長石の赤色部に点在する微小な暗褐色の鉱物は, EPMAと,ガンドルフィー機構を装着した微小部強力X線回折装置を用いて,自然銅と同定された。この暗褐色鉱物は大きさ数十μmの薄板状を呈し,灰長石の ( ?? 04) 面に平行に点在する。 EPMAによる分析では, Cu元素のみが検出されたので,そのLα線のケミカルシフトを測定し,金属銅,自然銅,赤銅鉱,黒銅鉱と比較したところ,薄板状鉱物のLα線のピークは,金属銅と自然銅のそれに一致した。さらに,その薄片試料から約40 μmの目的結晶を剥離して,ガンドルフィー機構を装置した微小部強力X線回折装置(木股ら, 1990) により測定した結果,灰長石以外の回折線はJCCPDSファイルの金属銅と同定され,その格子定数も決定された。この灰長石中の自然銅は, Cu以外の元素を含まないこと,その結晶形態と配列関係から,灰長石からの離溶により生じたと考えられる。

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