抄録
本研究は,東日本大震災の岩手県沿岸被災地において,政策的支援措置(2013年度~2015年度)を受けて起業した起業者58名の「起業動機・信条(内面的意識)」と「起業者間相互のつながり志向」を起業者に寄り添い個々に明らかにしたものである.自己実現志向が全体の2割に対し,地域貢献等の地域との関りを意識する者が2割.大半の6割はその両面をもつ.これらの起業者が地域の復興・創生において地域経済に留まらず,暮らし・地域社会・生活文化等の向上の役割を担う.また集合体としてみるなら,相互のつながりは,自らの事業推進・継続に,7.5割が有効と答える.その紐帯をなすのは,「信頼」や「被災の共通体験」ではなく,①起業に臨む同一境遇性,②地域への思い,③新たなビジネス展開への期待―等の特殊な構造を有する.