抄録
本稿では,日系外食企業による海外進出に際しての現地適応に関する分析を行った.業種を問わず日系企業が海外に進出する際には,現地の経済状況等にある程度の適応が求められる.特に,先進国に適応させるキャッチアップ型と,途上国に適合させるキャッチダウン型とでは,対処すべき課題も異なる.本稿は,主にキャッチダウン型の現地化について扱う.
これまで,外食企業の現地化に関する議論については,一定程度の事例分析は行われてきた.しかし,何を現地化するのか,あるいは現地化しないのかという内容に関する議論が欠如しているのが現状である.本稿では,外食企業の現地化のあり方を整理するフレームワークを提示するとともに,さらに,海外進出企業の戦略の違いや,現地化の現状と課題について検討する.