抄録
NOTES(Natural Orifice Translumenal Endoscopic Surgery)という新概念が登場した初期の動物実験段階では機器開発をめぐる熾烈な競争が展開されてきたが,臨床応用段階に入り,様々な課題に直面している.臨床導入の安全性を担保するため,hybrid NOTESによる工夫がなされ,一方ではNOTESをきっかけに単孔式腹腔鏡下手術など硬性鏡手術のさらなる低侵襲化への動きも加速化している.医原性消化管穿孔部の閉鎖や内視鏡的消化管全層切除,粘膜下層内部での筋層観察および下部食道筋層切開などNOTESへの橋渡し技術が生み出されたことによって,NOTESを引き金に始まったより低侵襲の治療技術と周辺機器開発は,外科領域にとどまらず,内科領域にも新たな発展をもたらすと考えられる.“NOTES”という言葉や概念にとらわれず,より低侵襲の治療を目指すという共通の夢をさらに前進させるため,内科医と外科医がさらに密接に協力していくことが重要であり,この分野において欧米に遅れをとらないためにもわが国における産学官共同研究の推進と緊密な医工連携による強固な研究体制作りが望まれる.