抄録
EUS-FNAは,1992年にVilmannらにより報告されて以来,その安全性や,正診率の向上と有用性が次第に認められ,広く普及してきている.本稿では,筆者がトレーニング・プログラムに参加し,その後も繁々訪問しているサウスカロライナ医科大学消化器病センター(主任Peter Cotton教授)でのEUS-FNAの変遷と現況を述べた.具体的には,EUS-FNAの効率的研修方法という観点から,まず米国でのトレーニングの概要,次いでその適応と禁忌・必要な解剖学・麻酔法・実際の手技のコツ・穿刺針の選択・術後の管理などについて技術解説した.EUS-FNAは,EUS単体による診断と比べると高侵襲で偶発症のリスクは増加するが,正診率の向上をもたらし,患者への有効な治療の選択に貢献する可能性があると考えられ,今後,その安全性を確立すれば本邦でのますますの普及が望まれる手技であろう.また,EUS-FNAの技術を用いた超音波内視鏡治療も今後十分に期待できる分野であると思われる.