2012 年 54 巻 12 号 p. 3797-3803
症例は67歳,男性.心窩部痛精査の上部消化管内視鏡検査で前庭部小彎に不整潰瘍性病変を認め生検で扁平上皮癌であった.FDG-PET/CT所見では胃前庭部小彎に高度の集積亢進を認めたが,その他には原発を疑う異常集積は認めなかった.胃原発扁平上皮癌と診断し,幽門側胃切除術,2群リンパ節郭清を施行した.病理組織検査では中分化から低分化扁平上皮癌で腺癌成分は認められなかった.腫瘍と食道粘膜の間には正常胃粘膜を認め,食道との連続性は認めなかった.胃原発扁平上皮癌は自験例を含め45例のみが報告されている稀な疾患である.