日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
Print ISSN : 0387-1207
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原著
胃腫瘍の多発病変における内視鏡検査偽陰性の検討
冨永 桂土山 寿志金子 佳史辻 国広稲垣 聡子吉田 尚弘早稲田 洋平辻 重継林 宣明鳴海 兼太三林 寛後藤 善則竹村 健一岡本 昌代三輪 一博山田 真也齋藤 奈津子大森 俊明島崎 英樹山本 道宏稲木 紀幸山田 哲司
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2012 年 54 巻 3 号 p. 424-431

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抄録
【目的】胃腫瘍は病変が多発することが多く,内視鏡検査時の見落としが問題となる.今回は,高解像度スコープ使用下での3年以内に指摘された多発胃腫瘍の偽陰性病変について検討した.【対象】当院でESDを施行した胃腫瘍501例.【結果】多発94症例は単発407症例と比し,背景粘膜が高度萎縮(0-2以上)に見られ,高齢者に多かった.多発症例は72.3%が他院からの紹介例であり,そのうち他院で30.7%が偽陰性であった.さらに当院での再検観察でも14.7%が偽陰性であった.また,当院発見26症例では29.8%が偽陰性であった.偽陰性は特に10mm以下のサイズの小さな病変に多かった.【結語】高齢で高度萎縮粘膜症例に多発病変が多く,サイズの小さな病変が偽陰性となりやすい.以上を留意した丁寧な検査が必要であり,術前の再検査により偽陰性病変を減少させる可能性がある.
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© 2012 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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