日本消化器内視鏡学会雑誌
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手技の解説
悪性肝門部胆管閉塞に対する内視鏡的ステント留置術
向井 強安田 一朗中島 賢憲土井 晋平岩下 拓司
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2014 年 56 巻 1 号 p. 71-86

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抄録
切除不能悪性肝門部胆管閉塞による閉塞性黄疸に対して,現在では,内視鏡的胆道ステント留置術が第一選択となっている.開存期間からみると,Plastic tube stent(PS)よりSelf-expandable metallic stent(SEMS)が望ましいとされているが,SEMSを推奨するエビデンスは少なく,ステント選択やステント留置方法等に多くのControversyがある.
SEMSは一度留置すると抜去や位置調節ができないため,不成功となった留置に対しては,SEMS本数が多いほど救済が不可能となる.また,個々の症例に対して必要なステント本数をあらかじめ予想することは困難であるため,十分な減黄および胆管炎の鎮静化が得られる前にSEMSを留置することは避けるべきである.すなわち,SEMS留置前にはENBD(Endoscopic naso-biliary drainage)を行い,減黄や胆管炎の鎮静化をはかる必要があり,実際に留置するステント本数は,黄疸や胆管炎がコントロールできたENBD tubeと同じ本数とすることが望ましい.
現時点では,両葉にSEMSを留置する際には,Partial stent-in-stent法が望ましく,Axial forceが弱いSEMSのほうが胆管に対する追従性が良いため,長期の開存期間が期待でき,メッシュ間隙が大きいSEMSのほうが容易で確実なステント留置やReinterventionを行うことができる.
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© 2014 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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