日本消化器内視鏡学会雑誌
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大型腫瘍に対する広範囲EMR(WF-EMR)の長期成績で腺腫再発は稀である:1,000例のACE Studyからの結果と危険因子
斎藤 豊
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2016 年 58 巻 9 号 p. 1515

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抄録

【目的】大型腫瘍に対する広範囲EMR(WF-EMR)は120mmまでの大腸粘膜内腫瘍に対する外科手術の代替治療であるが,高い潜在的な再発率が問題視されてきた.

目的は成功したWF-EMRの4カ月(早期)と16カ月(晩期)の再発率を明らかにし,その危険因子と臨床的意義を明らかにすること.

【方法】7つの教育病院に広範囲EMR目的に紹介された2cm以上の無茎性あるいはLSTに対する進行中の多施設前向き,ITT解析試験.サーベイランス内視鏡(SC)はWF-EMR後,4カ月後(SC1),16カ月後(SC2)に施行され,内視鏡画像記録とEMR瘢痕に対しての生検を行った.

【結果】1,134人の連続的な患者が登録され1,000病変のEMRが成功し,それらの患者のうち799人がSC1を受診した.670人は再発を認めなかった.早期の再発あるいは遺残腫瘍は128人(16.0%,95% CI 13.6-18.7%)に認めた.1例は不明.再発・遺残腺腫は71.7%が微小病変であった.多変量解析では40mm以上,APCの使用と術中出血が再発の危険因子として抽出された.670例の再発なし患者のうち426例にSC2が施行され,晩期再発が17例(4.0%,95% CI 2.4-6.2%)に認められた.全体としては再発・遺残腺腫に対して145例中135例(93.1%,95% CI 88.1-96.4%)で内視鏡的治療が成功した.

仮に最初のEMRが成功した場合,外科手術が必要なSM浸潤がなければ,16カ月の内視鏡サーベイランスにおいて98.1%(95% Ci 96.6-99.0%)の患者で腺腫の再発がなく,手術を回避できる.

【結論】WF-EMRにより,早期の腺腫再発を16%に認めたが,通常局所で小さく,危険因子も判明した.晩期再発は4%に認め,最終的には93%の症例で再発は内視鏡的に制御可能であった.WF-EMR後の再発は,厳重な内視鏡経過観察をすれば臨床的には大きな問題はなく,高い成功率で内視鏡的に再治療が可能であった.

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© 2016 一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
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