2023 年 65 巻 12 号 p. 2447-2449
2014年7月,東京都港区の富士フイルム旧本社ビル1階に開院した.受診対象者は富士フイルムホールディングスグループの社員,家族,退職者が中心であるが,3割程度一般の方も受診している.当院の母体である富士フイルム健康管理センター(神奈川県南足柄市)では1990年代後半より職域上部内視鏡検診,ヘリコバクターピロリ除菌治療を積極的に施行し成果をおさめており,東京地区に同じシステムを導入するのが最大の目的であった.
当院の特徴として,女性のがん死亡原因1位が長らく大腸癌であることを受け,なるべく多くの女性に大腸内視鏡検査を受診してもらえるようにスタッフは全員女性ということが挙げられる.また富士フイルム社製の最新内視鏡機器が常にアップデートされていることが大きな利点である.
上部内視鏡検査は主に経鼻内視鏡検査を行っているが,食道・胃がんのハイリスク者には拡大機能付きスコープを使用し,リスクに応じて対応をしている.
富士フイルムホールディングスグループでは大腸癌検診として逐年便潜血検査に加え,50歳代になったら1度は大腸内視鏡検査を受診するという「大腸内視鏡検診」に取り組んでおり,今後その成果が期待される.
組織神奈川県南足柄市にある富士フイルム健康管理センターを母体とした独立医療機関.
検査室レイアウト

内視鏡検査の動線を最優先にしてリカバリーエリア,洗浄エリア,診察室を配している.内視鏡室は2部屋あり,患者数が多い時は2部屋使用している.大腸内視鏡前処置の下剤を内服する時は受診者が一人一つの手洗いを使用し,男性と女性は1階と2階に分かれて内服できるようになっている.
(2023年4月現在)
医師:消化器内視鏡学会 指導医1名
内視鏡技師:Ⅰ種4名
看護師:常勤4名,非常勤1名
事務職:2名

スタッフ集合写真
(2023年4月現在)

(2022年4月~2023年3月まで)

医師一人体制である.看護師は全員消化器内視鏡技師をとるよう指導している.また,海外の医師が経鼻内視鏡検査,AI機器等の見学に来ることがある.特に海外ではまだ浸透していない経鼻内視鏡検査に関しては前処置を含めて実地見学をしてもらい,検査方法について指導している.
大腸癌の罹患・死亡者数の抑制のためには便潜血検査陽性者を確実に内視鏡検査受診に結びつけることが最重要課題である.また内視鏡検査はリピーター数を増やすのではなく,「50歳代で1度は大腸内視鏡検査を受けたことがある」人数を増やすことが重要である.富士フイルムホールディングスグループの拡大に伴い所属会社・社員数が増加しており,2022年横浜市みなとみらい地区に富士フイルムホールディングスグループの大規模な検診センター(メディテラスよこはま)がオープンした.神奈川県南足柄市の富士フイルム健康管理センター,メディテラスよこはま,当院で連携して受診者のべ数の増加に取り組んでいく予定である.