日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡室の紹介
社会医療法人きつこう会多根総合病院
責任者:淺井 哲(消化器内科部長・内視鏡センター長)  〒550-0025 大阪府大阪市西区九条南1-12-21
中尾 栄祐
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2023 年 65 巻 12 号 p. 2450-2452

詳細

概要

沿革・特徴

1949年に開設された前身となる医療施設から1969年に現在の多根総合病院となり,現在は2011年に京セラドーム大阪と隣接する現在地に新築移転した.304床を有する二次救急指定病院として,主に大阪市西部の救急医療の中心的役割を担っており,年間救急搬送件数は8,000件前後に上る.さらに,大阪府がん診療拠点病院,災害拠点病院,臨床研修指定病院として,がん診療や災害医療,研修医の指導・育成に積極的に取り組んでいる.2011年の新病院への移転と同時に,消化器内視鏡に高度に特化した内視鏡センターが新設され,現在では年間10,000件を超える内視鏡検査・治療を行っている.特に,緊急内視鏡検査・治療を積極的に行っており,消化管出血ホットラインを有している.また,当院の内視鏡手技の特徴としては,内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)や内視鏡的逆行性膵胆管造影法(ERCP)に加えて,SpyGlass DSⅡを用いた巨大総胆管結石破砕や胆管癌の正確な進展度診断,胆管や嚢胞,膿瘍に対する超音波内視鏡検査(EUS)下ドレナージ,Over The Scope Clip(OTSC)を用いた止血術や瘻孔閉鎖,SutuArt®を用いた内視鏡的縫合など,保険承認されているあらゆる手技を多岐にわたって行っている.

組織

内視鏡センターは院内で独立しており,主に消化器内科医が内視鏡検査・治療を担当している.メディカルスタッフは内視鏡センター所属の専任スタッフとして配属されており,質の高い内視鏡検査を支えている.

検査室レイアウト

 

 

 

スタッフ

(2023年2月現在)

医師:消化器内視鏡学会 指導医4名,消化器内視鏡学会 専門医7名,その他スタッフ10名

内視鏡技師:Ⅰ種9名,Ⅱ種1名(臨床工学技士2名,看護師8名)

看護師:常勤1名,非常勤2名

事務職:2名

設備・備品

(2023年2月現在)

 

 

実績

(2022年1月~2022年12月まで)

 

 

指導体制,指導方針

当科には消化器内視鏡専門医7名(うち指導医4名)が在籍しており,初期・後期研修医の指導にあたっている.当院は臨床研修指定病院に指定されており,16名の初期臨床研修医が在籍している.初期臨床研修医は検査中の麻酔管理やスコープ洗浄に携わり,希望に応じて内視鏡トレーニングモデルを用いてスコープ操作を学ぶ.また,当院は内科専門研修プログラムを持つ基幹施設であり,2022年度現在,当科には5名の後期臨床研修医が在籍しており,内視鏡検査・治療の研鑽に励みながら,内科専門医研修カリキュラムに則った研修を行っている.具体的には,鎮静下での上部消化管内視鏡検査がスムーズに行えるようになった時点で,非鎮静下での上部消化管内視鏡を担当する.そして,大腸内視鏡トレーニングモデルでスムーズに挿入が可能となった時点で,下部消化管内視鏡検査を開始する.当院にはほぼ全室にUPD(内視鏡挿入形状観測装置)が配備されており,スピーディーな大腸内視鏡挿入の上達の一助となっている.上部・下部内視鏡検査を十分に経験したうえで,上達レベルに応じてERCPやESDなどの高難度の手技を開始していく.ただし,難易度の高い手技を後期研修医が担当する場合には,時間制限を設け,制限時間内でも手技が滞っている場合には速やかに上級医に交代するようにしている.

また,週に1回の内視鏡カンファレンスでは主に過去一週間の内視鏡治療症例の振り返りと治療後経過の共有,そして予定治療症例の情報共有(適応から手技の詳細まで)を行っている.さらに,当科より外科へ紹介となった症例の振り返りも行っている.また,このカンファレンスには,医師のみではなく,メディカルスタッフも参加し,使用デバイスの確認や最適な鎮静法の検討を行っている.メディカルスタッフと十分に症例の情報共有を行うことで,スムーズな内視鏡治療が可能となっている.総回診は週に1回行っており,病棟患者の治療方針の確認を科内全体で行っている.

現状の問題点と今後

ここ数年,当科の医師の数は増加傾向であるが,内視鏡件数の増加とともにメディカルスタッフへの負担が大きくなっている.また,現在の内視鏡室のスペースでは検査数にも限界があり,鎮静剤使用後の患者の休憩スペースの確保も十分ではない.さらに,透視検査室が内視鏡センターとは別の階にあるため,機器の運搬もやや煩雑である.したがって,今後は医師のみではなくメディカルスタッフの確保も必要であり,よりスムーズで高精度の内視鏡検査・治療を提供するために,内視鏡センターの拡充や透視検査室の増設などが必要である.なお,2026年には新内視鏡センターが完成予定であり,これらの問題点の改善が望まれる.

 
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