2026 年 68 巻 7 号 p. 1358
【背景】内視鏡的粘膜下層剝離術(ESD)は,一括切除が可能で,詳細な病理評価ができるが,T1大腸癌に対するESD後の長期成績を前向きに検討した報告は限られている.本研究では,ESD後のT1大腸癌を日本の大腸癌治療ガイドライン 2)に基づき,低リスク群と高リスク群に分類し長期成績を比較した.
【方法】広島県内で大腸ESDを実施する11施設において,2014年から2018年に大腸ESDを受けた連続症例を登録した多施設前向き観察研究である.病理学的にT1大腸癌と診断された383例を解析対象とし,低リスク群と高リスク群に分類した.高リスク群は,追加手術群と経過観察群に分けて解析した.主要評価項目は5年累積再発率であった.
【結果】383例のうち,低リスク群は102例,高リスク群は281例であり,高リスク群のうち74例は経過観察,207例は追加手術を受けた.低リスク群では再発および大腸癌関連死亡を認めなかった.一方,高リスク群では10例(3.6%)に再発,5例(1.8%)に大腸癌関連死亡を認めた.高リスク群において,5年累積局所再発率は経過観察群で6.8%,追加手術群で0%であり,追加手術群で有意に低かった.一方,遠隔再発率は2.7%対1.9%,疾患特異的生存率は98.4%対98.5%であり,両群間に有意差を認めなかった.
【結語】低リスク群では,治癒切除後のESD単独で良好な長期成績が得られた.高リスク群では,追加手術により局所再発は抑制される可能性があるが,遠隔転移および疾患特異的生存への寄与は明らかではなかった.