日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡でみた食道静脈瘤と臨床所見との関連について
河原 清博河村 奨岡崎 幸紀沖田 極藤田 潔渡辺 精四郎有山 重美平田 牧三青山 栄竹本 忠良萩野 和彦梶川 憲治西明 義晃松浦 康彦松原 龍男重田 幸二郎加藤 展康
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1978 年 20 巻 12 号 p. 1107-1117

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抄録
食道静脈瘤を内視瘍的にgradeI,II,IIIa,IIIbに分類し,肝疾患,主として肝生検による組織学的うらづけのある肝硬変例で食道静脈瘤をともなう症例95例について,臨床所見と,静脈瘤の程度との対比を行った.理学的所見では,脾腫,腹壁静脈の怒張が静脈瘤の高度化とよく関連しており,肝腫との間には関連は認められなかった.食道静脈瘤出血例の脾腫ならびに腹壁静脈怒張の合併する頻度は,それぞれ63.0%,64%であり,非出血例の33.3%,29.4%に比べてかなり高かった.血液学的所見では,albumin値,r-globulin値,ICG test15分値,血小板数を基準とした出血傾向の程度をとりあげて検討した.r-globulin値,血小板数,ICG値,albumin値の順に,grade分類とよく対応していた.とくにr-globulin値の上昇と血小板数の減少は,静脈瘤の高度化との間に特異的関連があった.r-globulin値の出血例における平均値士標準偏差値は,42.67±14.51%で非出血例の25.09±18.03%より,はるかに高く,血小板数の減少に関しても出血例と非出血例の間に著明な差を認めた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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