日本消化器内視鏡学会雑誌
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経口的胆管・膵管内視鏡検査法の検討
浦上 慶仁岸 清一郎吉本 信次郎ERWIN SEIFERT
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1978 年 20 巻 2 号 p. 113-121

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抄録

 経口的膵・胆管内視鏡検査法(Peroral cholangio-pancreatoscopy,PCPS)および経口的直接胆道内視鏡検査法(Peroral direct cholangioscopy,PDCS)について検討を加えた. PCPSにはオリンパス光学製親子式ファイバースコープを用いた.本法の前処置および手技は通常のERCPと同様である.本法の対象症例は内視鏡的乳頭切開術(EPT)施行例5例,非施行例3例であり,主としてEPT後の胆管内小結石の遺残と空気像との鑑別に使用した. 施行例8例の成績は胆管内観察5例,膵管内観察1例,胆管および膵管内観察1例,乳頭挿入不能1例であった. PDCSはEPT施行例6例に試み,4例に胆管内挿入および観察に成功した.うち1例では直視下での胆管内結石把持が可能であった. 現時点ではPCPSは子スコープ。にアングル機構をもたないため,目的部位の観察はきわめて困難である.また鉗子機構も欠くため,生検および内視鏡下の処置が不可能である.この子スコープの欠点を補うため,著者らはPDCSを開発した. 現時点での経口的膵・胆管内視鏡検査法の役割として次のように位置づけている. PCPSは膵管の内視鏡観察および内視鏡的乳頭切開術(EPT)の有無にかかわらず胆管の内視鏡観察に有効である. PDCSはEPT施行例の胆管内視鏡検査および胆管結石の直視下摘出などの治療法として有効である.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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