日本消化器内視鏡学会雑誌
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胃切除後膵外分泌障害とERP像との比較検討
菊地 一博原沢 茂牧野 孝史柴田 晴通瀬上 一誠野見山 哲三輪 正彦鈴木 荘太郎谷 礼夫三輪 剛
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1982 年 24 巻 1 号 p. 15-21

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抄録
 胃切除術後の膵外分泌機能異常は既に報告されている.今回著者らは胃切除術を受けた患者を対象に内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)を施行し,得られた膵管像の形態学的変化について検討し術後膵障害について若干の検討を行なった.対象22例中膵管の形態学的異常を認めた群は10例(45.4%)であった.これらの症例ではPFDによる膵外分泌機能の低下が認められた.膵管異常群の術後経過年数は11.1±6.1(M±SD)年と,膵管正常群の5.5±3.7(M±SD)年に比し術後長期経過例に膵管異常が多かった.胃排出能の検討で,膵管異常群では正常群に比し胃排出能の亢進傾向が認められた.従って,胃排出能の著明な亢進を伴う術後長期経過例ではPancreatico cibal asynchronyの持続することによるCCKやSecretinの分泌刺激機構の作動が不十分となり,慢性の分泌剌激低下による膵のatrophyやfibrosis,更に膵管の変化をきたす可能性が考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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