抄録
入院した胃潰瘍125例の53例(42.4%)に胃びらんの合併を認めた.内視鏡検査からWalkの分類に準じてVarioli formとpuncti formに分けて検討した.1年以上経過を観察しえた25例につき,潰瘍の転帰から再発,非再発に分けてみると,再発潰瘍に合併したP型は初発潰瘍で少なく,胃角部潰瘍が多く,非再発潰瘍に合併したP型は初発潰瘍が多く,胃体部潰瘍が多い.いずれも潰瘍が活動期から瘢痕治癒するにつれ,P型びらんは消褪傾向を示し,V型びらんは潰瘍の瘢痕治癒に依らず残存傾向を示すものが多かった.非再発潰瘍は潰瘍瘢痕化後は1例を除いてP型のびらんの出現はみられなかった.