日本消化器内視鏡学会雑誌
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食道静脈瘤に対する内視鏡的栓塞療法の治療成績とその予後
河原 清博宮崎 誠司吉田 智治小田 正隆沖田 極岡崎 幸紀竹本 忠良
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1983 年 25 巻 7 号 p. 1033-1042_1

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抄録
 発赤所見を有する高度食道食道静脈瘤症例30例に対して,のべ60回の内視鏡的栓塞療法を施行し,その治療成績と予後について検討した.本法施行後に発赤所見の消失したものを改善例とし,その他を不変例とした.30例中22例(73.3%)が改善例,8例(26.7%)が不変例であった.本法施行後6カ月以上の経過観察が可能だった症例は14例である.発赤所見の再発は最短7.5カ月で認められたが,21カ月後の現在,発赤所見の再発をみない症例も認められた.発赤所見消失期間の平均値は10.8カ月以上であった.本法実施後,半年に一度の内視鏡検査による経過観察を行い,発赤所見の再発があれば本法をくりかえすことにより,食道静脈瘤出血を予防することができると思われた.また,緊急出血例の止血に威力を発揮する,本法の無透視下の簡便法について紹介した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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