抄録
症例1:64歳,男性.胃集団検診で胃ポリープを疑われ上部消化管内視鏡検査施行.Im部に0.3×0.5cm,表在陥凹型,深達度epの中分化型扁平上皮癌,またEi~Ea部に2×1cm,表在陥凹型,深達度mの中分化型扁平上皮癌が認められた.症例2:71歳,女性.67歳の時乳癌で右乳房切除,術後放射線療法の既往あり.食欲不振,心窩部不快感を主訴に来院.Im部に1.5×1.6×0.7cm,表在隆起型,深達度mの中分化型扁平上皮癌,Ea部に0.8×1.2cm,表在陥凹型,深達度smの中分化型扁平上皮癌が認められた.また,胃体中部後壁にはHlstageの潰瘍を認め生検でGroupIであった.両症例ともに,ly(-),v(-),n(-),stageOより多発早期食道癌と判定した.食道癌診療においては,壁内転移巣,多発癌巣,他臓器重複癌に対する十分な検索が必要であり,色素内視鏡を駆使した注意深い観察と積極的な生検が必要である.