抄録
症例は42歳の男性で,腹痛と下痢を訴えて来院した.腹部超音波検査とCTで,胆嚢腫瘍と肝外胆管の拡張を指摘され,ERCPで先天性胆管拡張症と診断された. エコーガイド下に経皮経肝的胆嚢ドレナージをおこない,瘻孔を拡張した後に経皮経肝胆嚢鏡検査(PTCCS)を施行した.柔らかい乳頭状の腫瘍が観察され,生検にて腺癌と診断された. 肝床切除を伴う胆嚢摘出術および拡張部胆管切除術を施行した.底部に32×25mmの乳頭状腫瘍が存在し,組織学的に粘膜内に限局した高分化腺癌と診断された. PTCCSによれば,安全かつ容易に内視鏡直視下生検が可能であり,胆嚢の小さな病変の確定診断に有用であると思われる.