日本消化器内視鏡学会雑誌
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上部消化管出血に対する内視鏡的マイクロ波凝固止血法の検討
永井 祐吾勝見 正治田伏 克惇田伏 洋治青山 修江川 博野口 博志小林 康人森 一成中井 健裕Hiroki YAMAUE
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1985 年 27 巻 9 号 p. 1750-1756_1

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抄録
 教室で考案した内視鏡的マイクロ波凝固法の上部消化管出血に対する治療成績について検討を加え,有用性を認めたので報告する. 上部消化管出血25例に対する72時間以上の有効止血率は92%であった.出血の状態別止血率は,露出血管を認めなかった例では82%であったのに対し,露出血管を認めた例では,拍動性出血の7例を含め100%の有効止血率であった.患者の全身状態別では,軽症100%,中等症100%,重症50%で,shockを経過した中等症以上の例にも有効であった.再出血のため手術を施行した例は5例あったが,凝固後24時間以内に手術した例は1例のみで,残りは5ないし7日後であった. 以上より,本法は上部消化管出血に対する緊急止血法として,特に露出血管よりの拍動性出血に対して有用である.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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