日本消化器内視鏡学会雑誌
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生検標本による胃粘膜毛細血管網の観察
―とくに内視鏡的発赤像とその血管構築について―
竹内 功
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1986 年 28 巻 5 号 p. 957-967

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抄録

血管壁にALP活性がある事は従来より知られていたが,この特性を利用しALP染色性をさらにたかめることを目的として,固定時間,染色時間および観察方法について検討した.その結果粘膜内毛細血管網を明瞭に観察する事が出来た. 成績:毛細血管の異常は,出血,減少,短縮,増生,不規則の5所見に分類出来た.血管密度の上から前3者を低密度群,後2者を高密度群に大別した.内視鏡的発赤部位の毛細血管像では,低密度群は58.9%,高密度群は45.1%であった.密度の低い群における発赤の原因は,炎症細胞浸潤によるものであった.過形成性ポリープでは数個の胃腺とこれを取り巻く血管の増生が一つの単位を形成していた.腸上皮化生粘膜では血管の乏しい傾向にあった.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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