抄録
切除残胃218例に内視鏡検査を施行し残胃癌25例を除く193例中34例(17.6%)に吻合部潰瘍を認めた.術式別による内訳は,Billroth I法(BI法)128例中17例(13.3%),BillrothII法(BII法)65例中17例(26.2%)であった.吻合部潰瘍34例のうち,遺残縫合糸の露出部に発生した吻合部潰瘍が6例(17.6%)に認められた.BI法吻合部潰瘍17例中15例(88.2%)は吻合線上に存在し,そのうち6例(40.0%)は遺残縫合糸の露:出部に発生した潰瘍であった.一方BII法吻合部潰瘍17例中13例(76.5%)が空腸側に存在し,遺残縫合糸の露出部に発生した潰瘍は認めなかった.このことからBII法では,吻合部潰瘍のほとんどが純然たる消化性潰瘍と考えられるのに比し,BI法では,遺残縫合糸が潰瘍の発生に関与する場合が多いと推察された.吻合部潰瘍の診断においては注意深い内視鏡観察による遺残縫合糸の有無の確認が重要であり,遺残縫合糸が存在した場合は,内視鏡下の縫合糸抜去が有用な治療法であると考えられた.