日本消化器内視鏡学会雑誌
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内視鏡生検による急性胃炎の病理組織学的所見(第2報)
―治癒過程の経過観察に関する研究―
大岩 俊夫桑野 博行森 正樹杉町 圭蔵
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1987 年 29 巻 5 号 p. 855-864_1

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抄録
 急性胃炎の発症後比較的早い時期での内視鏡所見及び生検組織所見については,すでに第1報で報告した.本稿では,急性胃炎のうち,出血性びらん型と潰瘍形成型の2つの型について,その治癒過程を内視鏡と生検による組織学的検索によって経過観察を行ってみた.その結果,両型共に再生上皮の発現は意外に早く,症状発現後6時間ですでに幼若再生上皮のみられるものもあった. また,出血性びらん型では発症時の壊死の程度が軽く,腺窩上皮の一部ないしは胃腺がかなり残存しているため,速やかな再生が行われる.潰瘍形成型では,壊死の程度の強い所では,速やかな再生が行われないで潰瘍となり,軽い部分では,出血性びらん型と同様に速やかな再生が行われる.すなわち,出血性びらん型も潰瘍形成型も本質的な差はなく,壊死の程度の差により,その経過が異なるものと考えられる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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