日本消化器内視鏡学会雑誌
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十二指腸潰瘍の再発に関する内視鏡的検討
―瘢痕形態と再発率について―
布施 好信児玉 正高升 正彦光藤 章二辻 秀治古谷 慎一堀口 雄一西田 博佐藤 達之岡野 均丸山 恭平福田 新一郎瀧野 辰郎竹田 彬一辻 俊三
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1987 年 29 巻 6 号 p. 1181-1186_1

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抄録

瘢痕期からの経過を1年以上にわたって追跡しえた十二指腸潰瘍患者122例(147病変)につき,瘢痕形態と再発との関連を検討した.経過追跡期間中,再発は約半数にみられ,非再発群との間に年齢差はみられなかった.瘢痕期stage別ではSIからの再発率が88.6%とS2からのそれ(32.0%)に比べ,有意に高かった.また瘢痕中心部の陥凹および周辺隆起の程度が強いものほど再発率が高く,これらの所見が高度なものは91%の再発率であった.一方,非再発群では経過中26.3%に,中心陥凹の改善・消失が認められた.瘢痕部の皺襞集中の程度と再発率との間には一定の関連はみられなかった.以上のことから赤色瘢痕(S1)と中心陥凹及び周辺隆起の強い瘢痕は,再発の危険性が大きいことが明らかとなり,再発を防止するためにはS2stageまで投薬を続けるとともに・瘢痕部の中心陥凹及び周辺隆起の強い例では内視鏡による定期的な経過観察が必要と考えられた.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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