日本消化器内視鏡学会雑誌
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高齢者早期胃癌6症例の経過観察
竹田 彬一辻 俊三福田 新一郎片岡 慶正岩井 眞樹園山 輝久能見 伸八郎中川 長雄郡 大裕川井 啓市
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1988 年 30 巻 11 号 p. 2596-2602_1

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抄録

高齢者早期胃癌例で,高齢ゆえ手術拒否例,または手術不能例6症例を検討し,高齢者早期胃癌の経過を検討した.胃癌確定診断時の年齢は76歳から87歳であった.化学療法はテガフールが1時期のみ,または,断続的に投与された.IIc型早期胃癌の4例は,最短19カ月から最長69カ月の経過にても,なお内視鏡所見はIIc様であった.一方IIa型早期胃癌の2例は,36カ月,56カ月でBorrmann II型胃癌となった.ただIIa型からIIa+IIc類似進行胃癌様となるまでは平均39カ月であったが,そこからBorrmann II型胃癌となるには平均8カ月であり,表在癌での時期は長いが深部浸潤すれぼ急速であった. 以上より高齢者早期胃癌の6例での経過は比較的緩慢であり,特に陥凹型胃癌では著明であった.胃癌の生長についてのdoubling timeを測定したIIcの1例ではtD=407日であった.内視鏡検診であれば,高齢者の場合2年以上に1回の検診で充分治癒切除可能であると推定された.

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