抄録
大腸内視鏡検査前処置法として,Golytelyを用いた方法の有用性が報告されているが,服用量が41前後と多いこと,腸管内に多量の液体貯留が認められることから,われわれは大腸内視鏡検査を施行した53症例に対して服用量を出来るだけ少なくし,短時間で服用させ,腸管洗浄効果,安全性について検討した. Golytelyの服用量は1,000mlを基本量とし,約1時間後に排便がみられない症例に500mlを追加服用させた.服用は出来るだけ短時間で行わせた. 腸管洗浄効果は盲腸,上行結腸の深部大腸においては,従来より行っているBrown変法に比し有意にすぐれていた.下部大腸では差はなかった. 安全性に関しては,24例にGolytely服用前後で血液生化学検査を行った.ヘマトクリット値,血清ナトリウム,クロール値は変化がなかったが,血清カリウム,BUN,クレアチニン値は,服用後有意に低下した.しかし,重篤な合併症はみられなかった. 本法は簡便で,被検者の苦痛も少なく,腸管洗浄効果もすぐれ,有用な大腸内視鏡検査前処置法と思われた.