日本消化器内視鏡学会雑誌
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食道静脈瘤硬化療法後に発生した食道Mucosal bridgeの1例
谷口 英人中村 正樹菊地 直人星野 清志小泉 浩一山本 仁志梅谷 薫並木 真生
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1988 年 30 巻 12 号 p. 3117-3120_1

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抄録
症例は73歳男性で昭和61年5月検診にて食道静脈瘤を指摘され,計4回にわたり内視鏡的硬化療法(EIS)を施行した.2カ所に潰瘍形成を認めたが静脈瘤は消失した.約1年後の昭和62年6月上部内視鏡検査において食道Mucosal bridgeが発見された.Mucosal bridgeはImよりEiに至り長径12cmにも及ぶ細長いH型をしており,両端は食道粘膜に固着し中心部の可動性は良好であった.内視鏡的に電気メスを用い固着部近傍を切離しMucosal bridgeを切除した.組織学的には中等度の炎症細胞浸潤を認めるroll状扁平上皮組織であった.Mucosal bridgeは炎症の修復過程における肉芽の癒着が原因とされ全消化管に発生するが食道では稀である.しかし近年EISの普及によりEIS後の報告もみられるようになった.本例は無症状であったが,文献的には狭窄症状を認めたとの報告もありわれわれは内視鏡的切除を施行し,併せて組織学的検索を施行した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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