日本消化器内視鏡学会雑誌
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"Kammrotung"に関する研究(第1報)―内視鏡的検討―
加藤 隆弘井田 和徳奥田 順一関本 郁史安藤 貴志加藤 周司宮永 実西脇 和善
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1988 年 30 巻 2 号 p. 355-360_1

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抄録

 色素内視鏡を用い,表層性胃炎の一指標とされるKammrötung(KR)の内視鏡像につき検討をおこない,以下の結果を得た.(1)KRは上部消化管内視鏡検査施行例3,443例中,211例(6.1%)に認められた.(2)KRに類似した線状発赤は体部腺領域のみならず,幽門腺領域にも認められた.(3)KRの背景胃粘膜はC0~C1と胃底腺粘膜に萎縮の拡大していないものが大部分を占めた.(4)KR上には,体部では線状白苔,線状陥凹,前庭部ではタコイボ型のビランおよび両域のKR上に小区の消失,不整など,上皮欠損の存在したことを示す所見が高頻度にみとめられた.(5)KR間の非発赤粘膜にも胃小区の不整がみられ,KR上のみならず,KR間の粘膜にも何らかの表層性の変化が起こりやすいことが示唆された.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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