抄録
食道結核の1例を経験した.症例は,52歳男性で嚥下障害を主訴として当院に受診した.食道造影では,中部食道に2.1×1.1cm大の周辺粘膜の盛り上がりを伴う陥凹性病変を認めた.内視鏡検査では,門歯列より31cmの食道右側壁に白苔に被われた不整な潰瘍を認め,潰瘍の境界は不明瞭で周辺粘膜は周堤状になだらかに盛り上がっていた.同部の生検組織にて乾酪性肉芽腫を認め,生検組織の培養により結核菌が証明された.食道結核と診断し抗結核剤が投与され,1カ月後には潰瘍性病変は瘢痕となっているのが確認された.食道結核は稀な疾患で,臨床例の報告は自験例を含め17例にすぎず,病変部の生検組織より乾酪性肉芽腫と結核菌が証明された例としては,自験例が本邦第1例目である.