抄録
症例は58歳の男性.胃集検で胃体部小彎に丘状の隆起を指摘され,内視鏡検査では中心が陥凹し,bridging foldsを伴う正常粘膜で覆われた隆起性病変を認めた.胃壁内での正確な局在を検討する目的で,粘膜下造影後CT法を試みた.その結果,粘膜下組織を中心に発育し,一部被覆粘膜と固有筋層へ波及した粘膜下腫瘤と診断できた.外科的切除を行い,組織学的に迷入膵であった.粘膜下造影法と比較して,本粘膜下造影後CT法では,粘膜下層での腫瘍の輪郭,大きさ,壁内占拠部位のすべてについてより良好な描写が得られ,これらの所見は切除標本と良く対応していた.胃粘膜下腫瘤の診断には,粘膜下造影法と本粘膜下造影後CT法の併用による観察が有用であると考えた.