日本消化器内視鏡学会雑誌
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大腸内視鏡検査によって穿孔をきたした虫垂憩室の1例
河原 邦光吉川 宣輝山本 明弘村井 雅巳
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1988 年 30 巻 3 号 p. 617-620_1

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抄録
大腸内視鏡検査により穿孔をきたした虫垂憩室の1例を報告する. 患者は右下腹部痛を主訴とする62歳女性.注腸X線検査にて,虫垂の中央部に2個の憩室および上行結腸に径2cmの亜有茎性ポリープを認めた.大腸内視鏡によるポリペクトミー施行後約12時間して急性腹膜炎症状が出現した.緊急手術にて開腹し,虫垂の先端から3の部位に穿孔を認め,虫垂切除術とドレナージ手術を施行した.組織学的に虫垂粘膜には炎症所見はなく,虫垂の漿膜側に組織球に貧食されたバリウムを認めた. 以上のことより本症例は,たびたび炎症をくり返していた虫垂憩室が注腸によって虫垂漿膜下に穿通し,さらに大腸内視鏡検査施行時に加わった空気圧により穿孔をきたしたものと考えられた.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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