日本消化器内視鏡学会雑誌
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超音波内視鏡による食道癌の深達度とリンパ節転移の診断に関する臨床的研究
伊藤 忠彦
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1988 年 30 巻 8 号 p. 1736-1745

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抄録
 術前に超音波内視鏡検査(EUS)を施行した食道癌症例25例について,EUS所見と手術・病理所見とを対比し,EUSの癌深達度診断およびリンパ節診断について検討した.その結果,癌深達度診断においては,腫瘍部を全長にわたって検索できた21例でみると,76.2%の正診率であった.縦隔噴門領域のリンパ節の描出率においては,長径5mm以上のものに限ってみると,通常のEUSでは48.5%であったのに対し,oil-in-water(o/w)emulsion経口投与後のEUS(enhanced EUS)では78.4%に向上した.リンパ節転移の有無の診断では,enhanced EUSで描出されたリンパ節の辺縁や内部のecho enhancementの有無に加え,描出されたリンパ節の大きさや形を考慮した判定基準を設定することにより,正診率は87.5%となった.以上の結果より,o/w emulsion経口投与法を含めたEUSは,食道癌の進展範囲の評価に有用であることを明らかにした.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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