抄録
症例は28歳,男性.主訴は水様下痢.1985年1月,両下肢に浮腫が出現し,ネフローゼ症候群と診断された.1986年6月より1日数回の水様下痢が出現したため,1987年1月入院した.小腸,大腸の消化管造影,内視鏡検査および生検により,Crohn病と診断した.また,この時粘膜下層にアミロイド沈着が認められ,蛋白分析の結果AAタイプで,続発性アミロイドーシスと考えられたが,他に基礎疾患が認められず,潜在性に存在していたCrohn病に基づく続発性のアミロイドーシスと考えられた.Crohn病の診断の約1年半前に,腎アミロイドーシスによると思われるネフローゼ症候群が先行した興味ある1例と考えられる.