日本消化器内視鏡学会雑誌
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肝左葉の分葉異常を認め,B型慢性肝炎とGilbert症候群を合併した1例
灘野 成人堀池 典生恩地 森一宮岡 弘明道尭 浩二郎梶野 一徳小川 泰史山口 修司久保 義一菊池 孝太田 康幸
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1990 年 32 巻 10 号 p. 2417-2420_1

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抄録
症例は18歳,男性.献血にて,HBs抗原陽性を指摘され,精査目的にて当科入院.腹部外傷の既往はなかった.入院時,HBs抗原陽性,HBe抗原陽性,軽度の一般肝機能検査異常を認めた.腹腔鏡検査にて,肝は軽度の紋理増強を伴う大白色肝であった.左葉中央部に表面に浅い裂溝を伴う分葉異常を認めた.裂溝は鋭利であり,先天的なものと診断した.なお,裏面の裂溝は辺縁にのみに認めた.ICG染色性に裂溝間の左右差はなく,血流には異常がないと思われた.肝生検組織では,慢性非活動性肝炎であった.また,腹腔鏡,肝生検,飢餓試験よりGilbert症候群と診断した.肝の分葉異常は当科腹腔鏡施行789例中,右葉では8例(1%)認められた.左葉では本例のみで,本邦では2例目であり,まれな例と思われたので文献的考察を加えて報告した.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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