抄録
Multiple Lymphomatous Polyposis of the Gastrointestinal Tract(以下MLP)の1例を経験したので,その治療に伴う内視鏡所見の変化を加えて報告する.症例は54歳の男性,1991年2月より粘血便が出現した.腹部に圧痛,肝脾腫を認めず,表在リンパ節は触知しなかった.大腸内視鏡検査にて直腸から終末回腸にかけて発赤を伴う粘膜下腫瘍様の小隆起を多数認め,上部消化管内視鏡検査でも食道,胃,十二指腸にかけて粘膜下腫瘍様の小隆起を多数認めた.生検により粘膜下層を中心に小リンパ球のびまん性浸潤の所見を得た.また小腸造影にて小隆起性病変と考えられる多数の陰影欠損像を認めた.以上より食道から直腸まで連続的にひろがりを示すMLPと診断し,VEPA療法を2回施行した.内視鏡検査で病変の改善を認めたため,外来で化学療法を継続することとして退院した.