1993 年 35 巻 11 号 p. 2651-2655_1
C型慢性肝炎において,ウイルスの増殖と肝病変の関連性を明らかにするため,肝組織内のC型肝炎ウイルスの分布をin situ hybridization法を用いて検出し,腹腔鏡所見との対比検討を行なった.肝組織内HCV-RNAの分布はspotty,scattered,clustered,diffuseの4型に分類された.4群間に性別,年齢,輸血歴,飲酒歴,血液生化学検査など臨床所見には差は見られなかった.Spottyパターンを示した症例では200番地台が多かったのに対して,scattered,clustered,diffuseとHCV-RNAの分布が密になるに従って200番地が減少し300,400,500番地台が増加していた.また,HCV-RNAの分布が増加している症例程,赤色紋理や溝状陥凹の出現頻度が高いことが認められた.以上より,C型肝炎のウイルス分布の差異が腹腔鏡所見に反映されるものと考えられた.