日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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超音波内視鏡による胆嚢壁肥厚性病変の診断(多変量解析による)
有村 文男
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1998 年 40 巻 1 号 p. 3-11

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抄録
 胆嚢壁肥厚性病変の鑑別診断を目的として,病理学的に診断された胆嚢壁肥厚性病変39例(慢性胆嚢炎17例,胆嚢腺筋腫症11例,胆嚢癌11例)の術前超音波内視鏡(EUS)像の胆嚢壁に関する壁肥厚度,3層構造の有無,エコーレベル,内部エコー,表面不整の有無,嚢胞状領域の有無の6因子をアイテムとして多変量解析(数量化2類)を行った.各疾患のEUS像の特徴は,慢性胆嚢炎では高・低・高エコーの3層構造または高エコー胆嚢腺筋腫症では嚢胞状領域を伴う中~高度肥厚した低エコー,胆嚢癌では表面不整の高度肥厚した低エコーであった.同解析による第1軸,第2軸に対する相関比はそれぞれ0.854,0.713で判別は良好であり,3疾患の総正診率は92%であった.またrangeの検討より,判別に当たって内部エコー以外の5因子に重みのあることが示された.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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