日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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内視鏡的局注止血法による胃穿孔の1例
片岡 伸一大地 宏昭豊永 高史土細工 利夫牧本 伸一郎仲本 剛上江洲 朝弘筑後 孝章廣岡 大司
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1998 年 40 巻 1 号 p. 33-39

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抄録
 症例は71歳男性,吐血によるショック状態で来院した.緊急内視鏡検査で胃角部小弯の潰瘍の露出血管からの拍動性出血を認め,高張Na-エピネフリン液(HS-E)と純エタノールの局注治療を行った.この際,潰瘍の口側粘膜が広範囲にわたり蒼白調に変化した.第2病日の内視鏡検査ではこの部に一致した二次性潰瘍と出血が確認され,純エタノール局注止血を追加した.第4病日の食事摂取と共に発熱と腹痛が出現,第5病日には遊離ガス像が確認され,潰瘍の穿孔と診断した.第6病日に開腹術を行い,胃体中部前壁に広範な潰瘍形成と穿孔を認め,幽門側胃切除を行った.本例における穿孔の原因は,エタノールによる動脈壁の変性が広範な血栓形成を招き,その結果組織が虚血に陥ったためと考えられる.
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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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