日本消化器内視鏡学会雑誌
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急性虫垂炎を契機に発見された早期虫垂癌の1例
前田 一也川浦 幸光龍沢 泰彦清水 淳三若林 時夫早川 康浩池田 直樹
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2000 年 42 巻 5 号 p. 1006-1011

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抄録

 症例は51歳女性。右下腹部痛を主訴に当科を受診した.腹部理学的所見,血液生化学的検査,腹部超音波検査の結果,急性虫垂炎の診断で手術を施行した.切除虫垂の病理組織学的検索で,虫垂根部に内腔へ増殖する高分化型腺癌を認めた.深達度はm,脈管侵襲は認めなかったが切除断端に及んでいる可能性があるとの診断であった.虫垂切除後3カ月後に施行した大腸内視鏡検査にて虫垂基部に癌の残存を認めたため,回盲部切除術を施行した.原発性虫垂癌は比較的稀な疾患で,そのほとんどが進行癌であり,早期虫垂癌の本邦報告例は24例目である.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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