日本消化器内視鏡学会雑誌
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自己免疫性膵炎の膵管像
土岐 文武
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2003 年 45 巻 10 号 p. 2071-2079

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抄録

膵管が特異的な狭細像を示す膵炎がその成因に自己免疫的機序の関与している可能性があるとして,自己免疫性膵炎(以下,AIP)と呼称され注目されている.現在,AIPの診断は日本膵臓学会の自己免疫性膵炎診断基準に準拠して行われている.診断基準では主膵管の狭細像と膵の腫大を確認することが必須とされている,したがってAIPの診断には膵管狭細像の判定が最も重要である.膵管狭細像は通常ERCPによる膵管像で診断される.膵管狭細像とは,「主膵管径が正常域より小さく(細く),かつ壁の不整像を伴い,このような異常像が一定範囲(現行の診断基準では膵全体の1/3以上)に認められる膵管像」としてほぼ合意が得られている.膵管狭細像と膵管狭窄像とは区別して用いることが重要であり,狭細像を膵管長の1/3以上としたことで膵癌の混入を防ぐことが可能と思われた. AIPの診断に際しては,自己抗体陰性例や膵管像のみが診断基準を満たさない症例の取り扱い,腫瘤形成性膵炎との関連など,問題は残されている.現診断基準でのAIPは,広義のAIPの一部である,膵管が狭細像を示すAIP(膵管狭細型自己免疫性膵炎)を取り扱っている可能性を認識しておくべきと考える.

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