2004 年 46 巻 4 号 p. 925-931
症例は74歳男性.既往歴として71歳時に早期胃癌のため胃幽門側切除術,D2リンパ節郭清術を施行された(M Circ O-IIc por2,muc>>sig,tub1-tub2T1(SM),Nl,MO,ly1,v0,Stage IB).平成14年2月(手術後2年7カ月後)スクリーニングのため大腸内視鏡を施行したところ,盲腸,上行結腸,直腸に約5mm大の頂部に発赤陥凹を伴うIIa+IIc様のポリープ病変を認めた.組織学的には大腸腺管は正常であったが,間質に著明な印環細胞癌を認め,早期胃癌からの転移性大腸癌と診断した.胃癌原発転移性大腸癌の肉眼形態は浸潤型がほとんどであり,IIa+IIc様の形態を呈する転移巣はまれである.さらに早期胃癌切除後にIIa+IIc様の大腸転移を来たした症例は,われわれが検索しえた範囲内において現在までに報告がなく,若干の文献的考察を加え報告する.