2008 年 50 巻 1 号 p. 58-65
(目的) 従来,治癒切除不能悪性消化管狭窄においては消化管バイパス術などのpalliative surgeryが施行されてきたが,施行不能な場合もあり,より低侵襲な治療が期待されてきた.(方法) 2005年12月より,内視鏡鉗子口から挿入可能なデリバリーシステムを有するTTS(Through thescope)タイプのSEMS(Self-expandable metallic stent)を治癒切除不能悪性消化管狭窄15症例に留置し,その有用性を検討した,(結果) 14症例で留置に成功し,平均15.7分で施行可能であった.また留置手技も簡便であり,留置後は狭窄症状の改善が93%でみられた.(結語) TTSタイプのSEMSは本邦では認可されていないが,低侵襲で有用な緩和治療と思われた.