日本消化器内視鏡学会雑誌
Online ISSN : 1884-5738
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主膵管の完全途絶を呈し,膵癌との鑑別診断に苦慮した自己免疫性膵炎の1手術例
石川 達上村 博輝土屋 淳紀冨樫 忠之渡辺 孝治関 慶一太田 宏信吉田 俊明上村 朝輝石原 法子
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2008 年 50 巻 2 号 p. 234-241

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抄録

症例は57歳,男性.左下腿浮腫を主訴に当院を受診した.画像検査にて膵腫瘤性病変および後腹膜線維症を指摘された.MRCP,ERCPにて尾部の膵管は完全途絶を呈し,膵管癌が完全に否定できず,平成16年10月,膵尾部,脾合併切除術を施行した.切除標本の病理所見は後腹膜線維症を伴った自己免疫性膵炎であった.術後,後腹膜線維症,自己免疫性膵炎に対する治療として平成16年10月下旬よりPredonizolone(PSL)40mgから開始し,以後漸減した.PSL投与開始後の腹部CTでは後腹膜線維症は改善した.術後2年4カ月後の現在,PSLlOmgにて外来通院中で,経過良好.再発所見を認めていない.左下腿浮腫も改善している.

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© 社団法人日本消化器内視鏡学会
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