Narrow Band maging(NBI)の大腸腫瘍診療(診断・治療)における現時点での臨床的意義について概説した.1)腫瘍発生に伴う粘膜表層の血管新生を高いコントラストで捉えることで,病変境界の視認性が向上し,微小病変や表面型腫瘍の拾い上げ精度の向上が期待されているが,まだ,一定のコンセンサスが得られていない.2)腫瘍・非腫瘍の鑑別診断に関しては,非腫瘍(特に表面型の過形成病変)はNBI観察では茶褐色に描出されないので容易に鑑別可能である.3)NBI観察ではpit間介在粘膜表層の微小血管は茶褐色に強調されて描出される.一方,血管のないpit部分は白く抜けて描出されるため,regu.arなpitpattern(II,III,IV 型)では間接的なpitpattern診断(色素拡大内視鏡観察の代用)が可能となる.4)早期大腸癌の異型度・浸潤度診断を病変表層部の「微小血管の不整像・太さ・分布の乱れなど」を捉えることによって行う試みが各施設で行われ,その有用性が示唆されているが,所見の定義や分類などが施設ことに異なっており,今後のさらなる症例集積と多施設での合同検討による理想的なNBI所見・分類の確立が必要である.