2018 年 15 巻 3 号 p. 201-208
【目的】胆道再建を伴う肝切除術後の Clavien-Dindo Grade Ⅲ・Ⅳ症例の経過について検討すること。【対象と方法】2009年から 2015年の 7年間における胆道再建を伴う肝切除施行例 428例を対象として,Grade Ⅲ・Ⅳ症例の患者背景・術式・術後合併症および治療経過について比較検討した。肝不全発症の危険因子についても検討した。【結果】Grade Ⅳ症例はⅢ症例に比較して,右肝切除施行および血管合併切除併施症例が多く,出血量が多かった。術後合併症では肺炎・敗血症の発症が多く,平均在院期間は長かった。肝不全発症の危険因子は出血量 1,500mL以上,肺炎・敗血症の発症であった。Grade Ⅲ・Ⅳ症例ともに治療法は,腹腔内のドレナージ状況を良好に保つこと,全身性の感染症が疑われる際は抗菌薬を追加投与することが基本となる。【結論】Clavien-Dindo Grade Ⅲ症例に対する感染管理を徹底することが,Clavien-Dindo Grade Ⅳ症例の発症予防につながる。